●鎗ヶ崎(やりがさき)わんこ通信

・鎗ヶ崎は、taulliのあるヒルズ代官山のすぐ目の前の交差点の名前です。

・日々のできごと、季節の移り変わりなど、感じたこと、思うことを、助手のわんこ(JoshといとこのPeter)がお送りします。

・過去の記事は、ページの一番下を見てね〜♪

鎗ヶ崎わんこ通信 2016年5月

▲仲の良いキリンに見とれる。
▲仲の良いキリンに見とれる。

2016年5月24日(火)

♪~Someone told me. It’s all happening at the zoo. I do believe it, I do believe it’s true.~♪

動物園を思い浮かべるだけでも、何だかわくわくします。日常生活ではお目にかかることのない世界各地の動物の生態を、覗き見ることができます。不思議で、素敵なことですね。TVもラジオも、ましてやインターネットもない(っていっても与えたところで使いこなせるのかはわかりません…)、本来の野生の地とはまるっきり違う世界での彼らの頭の中を想像したりすると、遥か昔の私たちの祖先が浮かんできて(アメリカのコミックスの「原始家族フリントストーン」や日本の「はじめ人間ギャートルズ」みたいな)、その面白さが何十倍にもなります。

冒頭の「At The Zoo」という名の曲は、サイモンとガーファンクルの1968年に発表された「Bookends」に収められました。

お休みの日に、引き寄せられるように横浜の動物園に行って来ました。この動物園は、南北に横長の広い敷地なので、動物や道端の花をスマホに収めながら、とにかく歩きました。中央に、サバンナに見立てられた広い囲いがあり、キリンやシマウマ、サイなどがいっしょに暮していました。新鮮で、しばらく眺めていました(実際はこっちが普通なんだけどね)。

背を伸ばして高い木の葉っぱを食べている若いキリンを見ていると、「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」というゴーギャンの絵(製作は1897~1898年)のタイトルが頭をよぎりました。

世界初の動物園は、1752年にオーストリアの首都ウィーンにほど近い、「美しい泉」という意味のシェーンブルン宮殿(世界遺産)の隣に作られたとのことです。全ての部屋を数えると1,440室を越える巨大な宮殿は、ハプスブルク王朝の歴代君主が離宮として使用しました。1779年に市民に公開されています。大きな戦争による存亡の危機を越えて、現在は法律により教育的権限を委任された中央センターと位置付けられています。

動物園の歴史は、平和を求める近代人の歴史でもあるようです。しかし、日常から離れて、つかの間の休息を笑顔とともに過ごす様々な人々の往来を見ているだけでも、幸せな気分に浸れるものですね。じゃあ、またね。


2016年5月22日(日)

休日の過ごし方は、音楽を聴きながらの散歩が一番です。カンカン照りはすぐに喫茶店を探して、逃げ込んでしまいますが、少し雲が覆っているような今の時期は格好の散歩日和で、空気も景色も大好きです。道端の小さな花や空を遮る大木の葉陰に立ち止まり、川べりでの少年野球やサッカーの歓声に再び立ち止まって時間が過ぎていくのが心地良いのです。

雨の日には、しょうがないので(服やカバンが濡れるのは苦手です)、自宅でコーヒーを入れて、読みかけの雑誌や文庫・新書のページをめくります。そうして、次の散歩に備えるわけです。

最近は、その名も「僕は散歩と雑学が好き」(ちくま文庫、2013年、植草甚一著)がお気に入りです。

1908年東京出身の、欧米文学、ジャス、映画評論家の通称J・J氏は、1979年に71歳で亡くなってしまいました。私にとっては、「キネマ旬報」、「映画之友」、「スクリーン」の映画評、カルチャー系の単行本を多数出版していた晶文社、雑誌「ワンダーランド」や後の「宝島」の常連で、こんな風に物知りで文章のよく書ける人になりたいものだとかねがね思っていました。

彼の愛したモダン・ジャズやミステリー小説にはまだ入口にも辿りついていません。J・Tの「ウォーキング・マン」(1974年)を聞きながら、今日も散歩に行って来ます。じゃあ、またね。

♪~Moving in silent desperation. Keeping an eye on the holy land. A hypothetical destination. Say, who is this walking man? ~♪


▲あの時の夕焼けは真っ赤だったよ。
▲あの時の夕焼けは真っ赤だったよ。

2016年5月17日(火)

♪~Long ago, a young man sits and plays his waiting game.~♪

アール・クルー(1953年、アメリカ出身)のアルバム「フィンガー・ペインティング」(2009年)を聞いていたら、懐かしいメロディが流れてきて、「あっ、ジェームス・テイラー」と思い出しました。

冒頭の歌は「遠い昔」という名で1994年発表の「Mud Slide Slim And The Blue Horizon」に収められています。このアルバムにはキャロル・キングの作品で彼が1971年に歌ってビルボード・ホット100の1位となった「君の友だち」も入っています。

夕暮れ時、仕事帰りの電車内から、多摩川にかかる赤く染まった空を眺めていると、幼い時に、学校から帰るとすぐに自転車に乗って、隣町まで走って、小さな市営動物園(というか少し大きな飼育小屋群だったかなぁ)のウサギや鶏を見に行き、暗くなってきた時に見上げた夕焼けを思い出すことがありました。あの時の自分は、その後何者になるかもわからずに、ただ妙な不安にかられ、心臓がドキドキしていたものです。いろんな出来事があって、様々な人々に会い、同じような悩みを話し合うことによって、その不安は、安心へと変わっていくのでした。

ジェームス・テイラーは、昨年発表のオリジナル・アルバム「Before This World」が1970年発表で最初のビルボード・ヒットチャート入りを果たした「Sweet Baby James」以来、実に45年もかかって初の1位を獲得しました。すごいね。


▲水に流して…。
▲水に流して…。

2016年5月16日(月)

♪~Way over yonder is a place that I know~♪

自分は、前向きな性格なので、滅多に落ち込むことはありません。でも、立て続けの、集中的な作業の結果、疲れによって体の動きを止められることがあり、やれやれと思いながら、このウェイ・オーバー・ヤンダ―を聞く訳です。

キャロルキング(1942年、アメリカ出身)のベストセラーアルバム「つづれおり」の収録曲です。1958年に、16歳でデビューし、現在も第一線を行くシンガー・ソングライター。1960年代の最初の3年間で、パートナー、ジェリー・ゴフィンとのコンビで、「ロコ・モーション」、「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」などを含め全米トップ40に20曲もランク入りしたヒット曲を生み出しました。70年代に入り発表された「つづれおり」(1971年)は、人生を振り返り、「君の友だち」のように、みんな誰かに支えられている、前向きに生きて行こうじゃないのというベクトルに満ちた構成です。全米アルバムチャートで15週連続1位となりました。この曲も人生を長い道のりであるけれど、辿りつくべき場所があるものだと捉えています。しっかり歩いていけば、求めているものは得られるということね。じゃあ、またね。


2016年5月7日(土)

1980年代の初め頃、糸井重里さんのコピー「おいしい生活」と、ウディ・アレンのとぼけたポートレイトのポスターが池袋のコンコースに沢山貼られていました。

ウディ・アレンの同名の映画(原題は「Small Time Crooks」)も2000年に公開されています。残念ながら見てはいません。

「おいしい生活」は1982年に西武百貨店のキャッチコピーとして採用されました。「じぶん、新発見」(1980年)、「不思議、大好き」(1981年)に続く第3作でした。日本経済が1970年代の「一億総中流化」からさらにバブルへと突き進んでいく時代(バブル崩壊は1990年代に入ってから)を象徴するコピーで、画期的でした。裏方であったコピーライターが、糸井さんを始め、仲畑貴志さん、林真理子さん、魚住勉さん、中島らもさんなどが急に表に出てこられて、時代の寵児となりました。誰もが「宣伝会議」(1954年~)や「広告批評」(1979~2009年)を購入して、彼らの動向を、追っかけていました。

その後は「失われた20年」と呼ばれる低成長期となりました。成長を知らない子供たちに「ゆとり教育」(1980~2010年頃まで)が行われていました(彼らが主人公のクドカンのドラマ、始まりましたね)。求めているのは、小さな幸せ? ガツガツしていないのね。じゃあ、またね。