●院長インタビュー

◆鍼の道について

 

-羽鳥先生が鍼の道を選んだきっかけを教えてください。

羽鳥:それ以前はファッションブランドや翻訳の仕事に就いていましたが、多忙な生活に行き詰まりと心身の限界を感じ、色々なことを見つめ直そうとした時期がありました。その頃読んだ "Women's Bodies, Women's Wisdom" (Christiane Northrup, M.D.)* という本の中に「自分が行き詰ったとき、どうしていいか分からなくなったときに11歳の頃の自分に戻ってその頃の自分に訊いてみる」というフレーズがありました。(*1990年代の版)

 

 

面白い発想ですね。11歳の頃のご自身と対話して、その答えは?

羽鳥:「ヒッピー」、「革命家」、そして「白衣を着る人」でした。自分自身が小さな頃からずっと、大きなくくりでの「生命」「ひとの身体」「健康」に興味を持ち続けていたことを思い出しました。

 

ー奥にあった身体への興味が湧き上がってきたんですね。

羽鳥:ニューエイジの影響も若干受けていて、人智を超えた力に対する興味もありましたし、西洋の臓器別に身体を診るという考え方に対する違和感も持っていました。心と身体は別々のものではないと考えていましたから。

 元々コミュニケーションとしての非言語(身体所見や動作)にも興味がありました。口は嘘をつくけれども、身体は嘘をつきません。身体の方が無意識な分、正直に反応します。身体から健康へのアプローチができる職業をまず考えました。

 

-そのなかでもなぜ鍼灸を選ばれたのですか?

羽鳥:身体へのアプローチの方法としてはアロマセラピー、リフレクソロジー、整体、リラクゼーションマッサージなど色々ありますが、調べてみるとそれらは国家資格ではありませんでした。

 私は患者さんに対して責任のとれる仕事をしたいと考え、きちんとした国家資格を取得するため3年間所定の専門学校で基礎からしっかりと学び、国家試験に合格してあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許を取得しました。厚生労働省の認可です。

 

◆ヘルシーエイジングとは?

 

―提唱している「ヘルシーエイジングのサポート」について教えて下さい。

羽鳥:それはトーリのコンセプトでもあります。日本は長寿大国といわれていますが、折角長生きしても、人生を能動的に楽しめていないという現状があります。

 気持ちよく80歳、90歳代を迎えるには「腰が痛いから鍼をする」だけではなく、日頃からの心身のメンテナンスが必要になります。

 今から5年後、10年後に自分がどうありたいかのイメージづくりと健康の底上げを、鍼灸マッサージだけでなく、食生活や日常生活の指導を含め総合的にプロデュースし、サポートしていきたいと考えています。

 

ー「未来の自分をデザインする」は、非常にステキなことばだと思いました。

羽鳥:巷に溢れる健康情報は断片的で短絡的なものが非常に多い。みなさまに情報をきちんと見極めて活かす力、即ち「ヘルス・リテラシー」を高めて頂くためにも、今後もキュレーターのような役目を負って情報を発信し続けます。

 

-鍼を受けるのに適した年齢はありますか?

羽鳥:何歳からでも。0歳からでも受けられますよ。それぞれのライフステージにおいて心身の健康に寄与できます。

 ただ、若いうちは身体も多少の無理もききますが、40代以降は生命エネルギーがガクンと落ちてきますし、今までのツケもきます。

 自分の身体に優しく!しっかりと定期的に身体のメンテナンスをし、食べものも着るものも素材や質にこだわって選ぶことをお勧めします。身体は正直なので、手をかけた分だけ応えてくれます。

 

◆施術所のこだわり

 

-施術所にもこだわりがあると聞いています。

羽鳥:もともと飾り立てたものよりも余計なものをそぎ落としたかたちが好きです。施術もそうで、鍼灸マッサージをしながら、食生活、睡眠を改善し、身体から余計なものを取り除いて本来の健康を取り戻すことを基本方針としています。 

 施術所に関しても足し算ではなくて引き算で、この空間にできるだけ人工的なもの、余計なものがないように心掛けました。

また、この施術所ではモグサを燃やすお灸は使いません。お灸が好きな方も沢山いらっしゃいますが、その煙が呼吸器の弱い方にはストレスになってしまうからです。お灸に替わるものはいろいろありますので、煙の出るお灸はしないというのもこだわりです。

 

-玄関を入ったときからずっと木の香りがしていますが・・。

羽鳥:壁と床に無垢の木材を使用しています。「木」という自然素材を採用した決め手は、木と漆喰でつくった家を訪問したときに、78年経っているのに木の自然の香りがほのかに漂い、空気が清々しい感じがしたことです。

 また、自然に調湿・調温もしてくれるので非常に快適です。今の季節は湿度が高めなので、床が鴬張りのように「キュッキュッ」と鳴って、生きているみたいですよ。

 

◆最後に

 

―ありがとうございました。最後に一言お願いします。

羽鳥:健康への合言葉は“Sleep well, Move more, Eat less!”です。